【2026年】自己破産で個人間の借金はどうなる?申告と相談前の確認点

2026年9月25日更新養分のトリセツ編集部広告

目次
  1. 自己破産と個人間の借金を整理する3つの前提
  2. 申告と返済で問題になる3つの論点の違い
  3. 個人の貸主との関係で確認する3つの点
  4. 相談前に整理しておく4つの情報
  5. 状況別に見る相談先の4パターン
  6. よくある質問
  7. まとめ|個人間の借金がある自己破産の進め方

友人や親族など、個人からの借入れを抱えた状態で自己破産を検討するとき、その借金がどう扱われるのか、相手に連絡が行くのかは大きな不安要素となります。個人間の借金も、破産手続においては債権者として扱いを確認する対象になり得ます。

破産法253条1項は、免責許可決定が確定すると、配当を除き破産債権について「その責任を免れる」と定めています。ただし、個別の借入れが法律上の破産債権に当たるかや非免責債権に該当しないかは、借入れの経緯や性質によって判断が分かれるため、相談先での確認が欠かせません。

この記事では、個人間の借入れに関する自己破産の前提、申告や返済に関わる制度の違い、貸主との関係、事前に整理すべき情報と相談先の確認点を解説します。

補足・参考

本記事で参照している破産法および貸金業法の条文は、e-Gov法令検索において2026年9月24日時点で施行されている現行規定に基づき確認しています。本記事の論点が特定時期に新設・改正されたことを示すものではありません。法的な判断は個別の事情によって異なるため、弁護士や公的窓口への確認が必要です。

自己破産と個人間の借金を整理する3つの前提

免責許可決定が確定した場合の効果

自己破産の手続において、借金の返済責任が免除されるかどうかは破産法253条1項の定めに従います。同項は、免責許可決定が確定したときは、破産手続による配当を除き、破産債権について「その責任を免れる」と定めています。

この効力は、裁判所の免責許可決定が下されただけでなく、その決定が確定しなければ生じません(破産法252条7項)。また、条文上の文言は「責任を免れる」であり、請求権そのものの消滅や法的な性質の変更を一律に断定することはできません。

個人間の借入れが対象になるかの見方

友人や知人、親族からの借入れであっても、基本的には手続上で債権者として扱われるかを確認していくことになります。破産法253条1項のただし書には責任を免れない「非免責債権」が列挙されていますが、個人間の金銭貸借そのものは非免責債権として列挙されていません。

ただし、借入れの目的や生活費名目での借入れであっても、契約の経緯や使途によって個別の事情が法的に考慮される場合があります。一律に対象となると決めつけず、相談先となる弁護士等の専門家に事実関係を正確に伝える必要があります。

免責されない債権の見分け方

免責許可決定が確定しても返済の責任が残る債権は、破産法253条1項各号に限定的に定められています。該当するかどうかは借入れの名目ではなく、債務が発生した具体的な原因に基づいて判断されます。

法テラスの案内等で示されている代表的な非免責債権の類型には、以下のようなものがあります。

・租税等の請求権

・破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

・子の監護に関する義務に係る請求権

友人や知人との金銭トラブルにおいて、経緯によっては損害賠償請求権などの性質を帯びていると主張される可能性もゼロではありません。ご自身の債務がどの類型に関わるかは、自己判断せず専門窓口で個別に確認することが大切です。

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申告と返済で問題になる3つの論点の違い

虚偽の債権者名簿は免責不許可事由になり得る

自己破産を申し立てる際は、債権者の一覧を記載した書類を裁判所に提出します。破産法252条1項7号では、「虚偽の債権者名簿を提出したこと」が免責不許可事由の一つとして掲げられています。

友人からの借入れを隠す目的で意図的に債権者名簿から外した場合、この事由に該当すると判断される懸念が生じます。記載漏れがどのような意図や状況で行われたかにより法的な評価は異なるため、正確な一覧を作成することが不可欠です。

知りながら記載しなかった請求権は免責の対象外になり得る

債権者名簿に記載しなかった個別の債権については、手続全体の不許可とは別に、破産法253条1項6号の規律が関わります。同号は、破産者が「知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権」は、免責の効力を受けない非免責債権になると定めています。

ただし、債権者が破産手続開始の決定があったことを知っていた場合は、この例外から外れます。故意に記載しなかったのか過失によるものかの評価は状況によるため、知っている債権者は漏れなく申告の対象として整理しなければなりません。

特定の人への返済(偏頗弁済)は別要件の2つの規律がある

「友人や親族にだけは迷惑をかけたくない」と考えて優先的に返済する行為は、法律上異なる2つの規律に抵触する可能性があります。これらは別条・別要件の制度であり、一括りに同一視することはできません。

第1に、破産法162条に基づく破産管財人による「否認権」の対象となり得る点です。支払不能になった後や申立ての後に特定の債権者に対してした弁済は、債権者がその状況を知っていた場合などに否認され、相手方に返還請求がなされることがあります。債権者が親族や同居者である場合は、事情を知っていたと推定される規定(同条2項1号)もあります。

第2に、破産法252条1項3号に基づく「免責不許可事由」に関わる点です。特定の債権者に特別の利益を与える目的や他の債権者を害する目的で、義務に属しない返済や時期・方法が義務でない弁済を行った場合、免責が許可されない原因になり得ます。返済の時期、金額、資金の原資、相手方との関係性を相談先に伝え、慎重に確認する必要があります。

条文上の規律 問題になる主な場面 判断で確認を要する要素
虚偽の債権者名簿(252条1項7号) 申立時に意図的に特定の債権者を除外・虚偽記載した場合 記載漏れの経緯、虚偽該当性の評価
知りながら記載しなかった請求権(253条1項6号) 債権者の存在を知りながら名簿から脱落させた場合 知情の有無、相手方が開始決定を知っていたか
特定債権者への担保供与・弁済(162条/252条1項3号) 支払不能後などに親族や知人へ優先して返済した場合 返済の時期・原資、債権者の認識、特別の目的の有無

注意

特定の個人への返済を自己判断で行ったり、申立て直前に借入れの免除を依頼したり、借換えを行ったりすることは避けてください。破産法252条1項2号や5号など、不利益な条件での債務負担や信用取引に関する個別要件に影響する可能性があります。借入れの事情や直近の返済履歴は、すべて事前に代理人や相談先へ伝えてください。

個人の貸主との関係で確認する3つの点

貸主に誰からいつ連絡が行くか

自己破産の手続を進めると、原則として債権者に対して裁判所等から通知が届きます。たとえば東京地方裁判所民事第20部の実務解説では、知れたる債権者として届け出ている相手に対し、「破産手続開始通知書」が封書で郵送され、手続開始は官報にも掲載されます。

ただし、通知の具体的な発送時期や書面の文面、管財事件と同時廃止事件の違い、他の裁判所における運用には差異があります。相手に秘密のまま手続を完了させることは困難であるため、誰からいつ連絡が届くのか、事前に本人から誠実に事情を説明すべきかについて、依頼した代理人や相談先と方針を協議することが重要です。

貸主から連絡や取立てが続くとき

弁護士等に債務整理を依頼すると貸金業者からの督促は制限されますが、貸金業法による取立て規制は「業として」貸付けを行う者を対象としています。そのため、一般の個人の貸主に対して一律に同様の法規制が適用されるわけではありません。

専門家に依頼したからといって、個人の貸主からの私的な連絡が法的に直ちに遮断されるとは限らない点に留意が必要です。執拗な連絡やトラブルが発生した場合は、連絡の日時・通話内容・メッセージ等の記録を保存し、対応方針を相談先の専門家に仰ぐようにしてください。

免責後に貸主へ返したくなったとき

免責許可決定が確定した後に、「親しい間柄だからどうしても返還したい」と考えるケースがあります。しかし、法的な判断を経ないまま個人的な金銭のやり取りを再開することは慎重であるべきです。

その金銭の支払いが免責された債務の清算に留まるのか、あるいは新たな返済合意や別の法的関係とみなされないかについて、支払う前に必ず代理人や専門窓口へ確認を取る手順を踏んでください。

相談前に整理しておく4つの情報

貸主ごとの貸借の記録

専門窓口へ相談に行く前に、個人間の借入れに関する事実関係を正確に書き出しておきます。借用書の有無にかかわらず、手元にある客観的な記録を整理することが大切です。

・貸主の氏名、自分との関係(親族、友人、同僚など)、連絡先

・お金を借り入れた時期および金額

・借入れを行った理由や使途

・借用書、メッセージアプリのやり取り、銀行の振込履歴などの控え

返済の履歴と原資

これまでに相手方へ返済した実績がある場合は、その履歴も詳細に記録します。これは前述の否認権や免責不許可事由に該当しないかを確認するための極めて重要な材料となります。

・過去に返済した具体的な日時と金額

・返済を行った相手(親族か第三者か)

・返済に充てた資金の出どころ(給与、他の借入れ、財産の売却など)

住所や連絡先が分からない貸主の情報

昔の知人などで現在の住所が分からない場合でも、隠蔽と判断されないよう手元にある限りの情報をまとめます。

・把握している最後の氏名、電話番号、メールアドレス

・最後に連絡を取った、あるいは所在を把握していた日時と場所

手続の進行段階と既存の代理人

現在のご自身の状況や相談の進捗度合いを明確にしておきます。

・これから自己破産を申し立てる準備段階か、すでに申立て後・決定後か

・すでに別の代理人がいるか、自身で対応を検討しているか

・管財事件または同時廃止事件のどちらで見込まれているか(手続中の方)

補足・参考

整理した情報をもとに専門窓口へ相談する際は、以下の項目を事前に確認しておくと進行がスムーズになります。
・その窓口で個人間の借入れを含む債務整理の相談を取り扱っているか
・相談の利用条件、予約の要否、および相談費用の有無
・手続を依頼する場合の費用体系や支払方法
相談先としては、後述する法テラスや弁護士会の法律相談センターなどの公的機関・専門家窓口が活用できます。

状況別に見る相談先の4パターン

費用に不安があるとき

弁護士費用や手続費用の支払いに不安がある場合は、日本司法支援センター(法テラス)の利用が選択肢となります。法テラスでは、経済的に困窮している方を対象に弁護士・司法書士費用等の立替制度を設けています。

利用にあたっては収入や資産が一定基準以下であることなどの条件があり、所定の審査が行われます。自己破産事件では免責決定の見込みがあることも要件の一つです。立替費用の返還は無利息での分割払いとなりますが、無料法律相談の要件等とは区別して確認する必要があります。

弁護士・司法書士に手続を相談したいとき

法的な手続の代理を依頼したい場合は、日本弁護士連合会が案内する「全国の弁護士会の法律相談センター」や、日本司法書士会連合会が候補になります。金融庁の多重債務相談案内でも正式な相談先として掲載されています。

相談枠の予約方法、面談の形式、相談料が有料か無料かなどは地域や事務所の窓口によって異なるため、直接問い合わせて確認することが必要です。

多重債務全般を相談したいとき

金融機関や貸金業者からの借入れも重複しており、家計や借金全体の整理方法について助言を受けたい場合は、行政や関係団体の窓口があります。

・全国の財務局多重債務相談窓口

・日本貸金業協会

・日本クレジットカウンセリング協会

・全国銀行協会

これらは金融庁の相談窓口一覧に掲げられている公的な組織です。具体的な対応範囲や受付条件は各機関の案内を確認してください。

貸し手が業者やヤミ金融かもしれないとき

個人間のやり取りに見えても、SNS上の「個人間融資」などを介している場合、実態が違法な貸金業者(ヤミ金融)である可能性があります。貸付けを反復継続して「業として」行っている場合は法的な位置づけが異なります。

金融庁の相談窓口案内において、違法な金融業者に関する通報・相談先としては「警察」および「消費生活センター」が明確に分類されています。不審な金利や過度な督促がある場合は、これらの窓口や弁護士へ速やかに相談することが求められます。

現在の状況・懸念 主な相談先候補 窓口で確認すべき事項
手続費用を工面するのが難しい 法テラス(日本司法支援センター) 費用・資力基準
手続の代理や方針決定を進めたい 弁護士会の法律相談センター、司法書士会 対応範囲・相談費用
家計状況や借入れ全体の再建を相談したい 財務局多重債務相談窓口、各種相談協会 受付条件・助言範囲
貸主が違法業者やヤミ金の疑いがある 警察、消費生活センター 相談手順・証拠保存

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よくある質問

自己破産すると個人間の借金も免責されますか?
破産法253条1項により、免責許可決定が確定すると破産債権について責任を免れると定められています。ただし、個人間の借入れが法律上の破産債権に当たるかや、同項各号の非免責債権に該当しないかについては、借入れの事情や性質によって判断されます。自己判断せず専門家への確認が必要です。
個人間の借金を債権者名簿に書かないとどうなりますか?
意図的に除外した場合は「虚偽の債権者名簿の提出」として破産法252条1項7号の免責不許可事由に該当するリスクがあります。また、知りながら記載しなかった請求権は破産法253条1項6号により非免責債権として扱われる可能性があります。漏れに気づいた際は速やかに代理人や相談先へ報告してください。
自己破産の前に友人への借金だけを返済してもいいですか?
自己判断での優先返済は避けるべきです。支払不能後の特定の返済は、破産法162条により否認権の対象となるほか、破産法252条1項3号の免責不許可事由に関わるおそれがあります。返済の時期や金額、原資などの事情を相談先に正確に伝えて指示を仰いでください。
免責が確定した後に友人に返済しても問題ありませんか?
免責許可決定が確定した後に自発的に金銭を支払う行為であっても、その債務が免責された債務の清算に留まるのか、新たな返済合意等と受け取られないかを事前に確認することが重要です。金銭を渡す前に代理人や専門家に相談してください。
知人や親族に自己破産の手続をとったことは知られますか?
債権者名簿に記載した相手には、裁判所から破産手続開始通知書が送付される運用(東京地裁等の場合)があり、決定は官報にも掲載されます。秘密のまま進めることは困難であるため、誰からいつ通知が行くのか、事前に自身から事情を説明すべきかを相談先と協議してください。
個人の貸主から激しい取立てが続くときはどうすればいいですか?
貸金業法による取立て規制は「業として」行う貸金業者等を対象としており、個人の貸主に一律に適用されるとは限りません。連絡の日時やメッセージの記録を保存した上で、代理人や相談先に報告し対応方針を決めてください。違法業者の疑いがある場合は警察や消費生活センターも窓口となります。
自己破産や個人間の借金について相談できる窓口はどこですか?
法テラス(日本司法支援センター)、弁護士会の法律相談センター、日本司法書士会連合会、各財務局の多重債務相談窓口などが挙げられます。費用の立替を希望する場合は法テラスの資力審査等の条件を確認し、各窓口の予約要否や対応範囲を問い合わせてください。

⚖️ 無料で借金問題を相談できる窓口

自己破産・任意整理・個人再生を含む借金問題は、専門家への早期相談で負担を抑えて解決できる場合があります。以下は無料で相談を受け付けている窓口です。

・法テラス(日本司法支援センター) — 収入要件を満たす方は無料相談+弁護士費用立替も可能

・弁護士ドットコム 借金・債務整理の相談 — 全国の弁護士に無料相談

※本記事は一般的な解説であり、具体的な手続きは資格を持つ弁護士・司法書士にご相談ください。

まとめ|個人間の借金がある自己破産の進め方

この記事のまとめ

・個人間の借金も破産法253条の規律に照らして整理され、免責の効力が及ぶかや非免責債権に該当しないかは個別の原因により判断される

・名簿への不記載(虚偽名簿・知れたる債権者)や特定人への弁済(否認・免責不許可事由)は別々の法制度であり、自己判断での返済や除外は避ける

・債権者名簿に記載した貸主には通知が届く実務があるため、通知の時期や事前の説明方針を相談先と確認する

・貸借の記録や過去の返済履歴を漏れなく整理し、法テラスや弁護士会などの公的窓口・法律の専門家に相談する

個人間の借入れは人間関係が深く関わるため、感情面から申告をためらったり、独断で一部だけ返済してしまったりしがちです。しかし、そうした行動が手続全体の進行や免責の判断に影響を及ぼす可能性があります。まずは正確な貸借記録をまとめ、法テラスや弁護士会をはじめとする信頼できる窓口で適切なアドバイスを受けてください。

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