【2026年】自己破産で給与差し押さえはどうなる?手続き中の扱いと相談前の準備

2026年9月21日更新養分のトリセツ編集部広告

目次
  1. 自己破産と給与差し押さえの関係|先に知る3つの前提
  2. 手続きの段階別|給与の扱いが変わる4つのタイミング
  3. 自己破産後も給与の差し押さえが問題になる3つの場面
  4. 状況別|今の段階で確認したい3つの行動
  5. 相談前に準備したい5つのもの
  6. 相談先を選ぶときの4つの確認項目
  7. よくある質問
  8. まとめ|手続きの段階を把握して早めの相談窓口へ

給与の差し押さえを受けたり、裁判所から通知が届いたりしたとき、「自己破産を選べば差押えはすぐに止まるのか」という疑問を持つ方は少なくありません。結論からお伝えすると、給与差し押さえが止まる時期や扱いは手続きの段階や事案によって異なり、専門家への相談や申立てだけで直ちに止まるとは限りません。

給与差し押さえを受けている、あるいはその不安を抱えている方に向けて、ご自身の現状の確認、次にとるべき行動の検討、相談前の準備ができる内容を整理しました。

自己破産と給与差し押さえの関係|先に知る3つの前提

給与の差し押さえと自己破産は、適用される法令や目的が異なる手続きです。この関係性を把握しておくことが、今後の見通しを立てるための基礎となります。

給与差し押さえと自己破産は異なる制度

給与の差し押さえは、民事執行法に基づく強制執行手続きのひとつです。債権者が裁判所で確定判決や仮執行宣言付支払督促などの債務名義(判決など強制執行の根拠になる書面)を取得し、勤務先(第三債務者)に差押命令が送られ、給与から直接取り立てることで進められます。

自己破産は破産法に基づき、裁判所の管理のもとで財産を清算し、免責(借金の支払い義務を免除する裁判所の決定)の許可を求める手続きです。自己破産を申し立てたからといって、すでに始まった差押えがその時点で当然に消えるわけではありません。

差し押さえられる給与の範囲と上限

民事執行法の規定により、給与差し押さえには生活維持のための上限が設けられています。原則として、給料や賞与などの手取り額のうち4分の3に相当する部分は差押禁止債権とされており、債権者が差し押さえることができるのは手取り額の4分の1までです。ただし、手取り額が高額な場合は例外規定が設けられています。なお、養育費などの請求では差し押さえの上限が異なる場合があるため、専門家にご確認ください。

受任通知の送付と差押え手続きの違い

弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、各債権者へ受任通知(介入通知)が発送されます。これにより、貸金業法等の規制に基づき貸金業者からの直接の督促や連絡は停止します。しかし、すでに裁判所で開始されている給与の差し押さえ手続きについては、受任通知を発送しただけで当然に効力が失われるわけではありません。止まる時期は手続きの段階によって異なるため、次の章で整理します。

注意

差押命令などの書類は放置せず、記載内容と日付を確認することが重要です。個別事情によって法律上の結論は大きく変わるため、書類が届いた段階で速やかに専門家へご相談ください。

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手続きの段階別|給与の扱いが変わる4つのタイミング

自己破産の手続きがどの段階にあるかによって、差し押さえられた給与の扱いは変化します。なお、「破産手続開始決定」とは裁判所が破産手続を始めると決める判断のことです。4つの時期ごとに生じる法的な違いを整理しました。

手続きの段階 給与差押えの扱い 確認したいこと
受任通知後〜申立前 受任通知だけでは止まらない 差押えの開始日と次回の給与日
申立後〜開始決定前 継続することがある。裁判所の判断で止まる場合もある 申立日と開始決定の見込み時期を専門家に確認
破産手続開始決定後 破産財団に対する新たな強制執行は原則できなくなる。既存の差押えがいつ止まるかは類型や事案による 相談・依頼先の専門家への日程確認
免責許可の確定後 免責の対象となる債権に基づく差押えは、原則として効力を失う(例外は次の章) 免責許可決定が確定したか

受任通知後〜申立前

受任通知だけでは給与差し押さえは止まりません。生活費への影響を抑えるためにも、裁判所へ提出する破産申立書類の作成や資料集めを速やかに進める必要があります。

申立後〜開始決定前

裁判所へ自己破産の申立書を提出してから破産手続開始決定が出るまでの期間も、差し押さえ手続きが続くことがある期間です。実務上、申立てから開始決定までは書類審査や面談のために一定の時間を要します。個別の事案で裁判所の判断により止まる場合もありますが、可否は裁判所が決めることになります。

破産手続開始決定後

破産法の規定により、破産手続開始決定が下されると、破産財団(配当に回される財産)に属する財産に対する新たな強制執行はできなくなります。

すでに進行していた給与差押えの扱いについては、同時廃止事件(財産が少なく簡易に進む型)か管財事件(破産管財人が選ばれ財産を調べる型)かなどの手続き類型や裁判所の運用によって、止まる時期や手続きが異なり得ます。ご自身のケースでいつどのような対応が必要になるかは、相談・依頼先の専門家に日付や見通しをご確認ください。

破産手続開始決定の後に新しく得る給与など(新得財産)は、原則として破産者自身の生活費に充てることができます。これは破産手続で回収される対象にならないという意味であり、すでに始まった差押えがいつ止まるかは別問題です。

免責許可の確定後

裁判所による免責許可決定が確定すると、免責の対象となった破産債権について責任を免れ、これに基づく給与差押えは原則として効力を失います。ただし、養育費や税金などは免責されないため、次の章で詳しく説明します。

編集部の一言

手続きが進んだ際、いつの給与から差押えがなくなり全額支給になるかを確認しておくと生活の不安を軽減できます。

自己破産後も給与の差し押さえが問題になる3つの場面

自己破産を申し立てて免責が認められた場合でも、すべての債務について差し押さえが停止するとは限りません。例外的な扱いとなる場面を解説します。

養育費など扶養に関わる債権

破産法の規定により、夫婦間の婚姻費用や子の養育費など、扶養義務に関わる請求権は「非免責債権(免責されない債権)」に指定されています。これらの債権は自己破産の免責が許可された後も支払い義務が残り続けます。免責されない債権であるため、免責確定後も給与差押えが問題になり得ます。

税金・社会保険料などの滞納

住民税、所得税、固定資産税などの公租公課や、国民年金・国民健康保険などの保険料も、破産法の規定により免責の対象にならない債権と定められています。借金を自己破産で整理しても免責の対象にならないため、破産後も滞納が残ると、役所による差押え(給与が対象になる場合を含む)が問題になり得ます。給与が対象になるかや今後の具体的な対応については、管轄の役所窓口で確認する必要があります。

免責が許可されない場合

破産法に定められた「免責不許可事由(免責が認められにくくなる事由)」に該当する場合、免責が認められないリスクが存在します。例えば、公営競技やパチンコといったギャンブル、あるいは過度な浪費が原因の場合は、免責不許可事由にあたる可能性があります。ただし最終的には諸事情を踏まえた裁判所の個別判断により、裁判所の裁量で免責が認められる場合もあります。

万が一免責が許可されない場合は、債権者による給与の差し押さえが問題になり得ます。

補足・参考

免責されない債権には養育費や税金のほかにも該当するものがあります。ご自身の借入れや義務が免責の対象となるかは専門家にご確認ください。

状況別|今の段階で確認したい3つの行動

給与差し押さえに関する現在の進捗状況によって、優先すべき行動や確認事項は異なります。ご自身の状況に合わせた対応を整理してください。

現在の状況 まず確認するもの 相談時に伝えること
差押命令が届いた(勤務先にも届いている可能性) 差押命令正本の受領日・請求債権額 勤務先に届いているか・次回支給日
訴状・支払督促が届いた 書類の受取日・答弁書や異議申立の期限 届いた書類の種類・争う点の有無・今後の返済の見込み
督促のみで裁判前 各社からの督促状・現在の残高一覧 毎月の収支と返済が継続困難である旨

差押命令が勤務先に届いた場合

すでに債権差押命令が勤務先へ送達された場合、民事執行法上の効力により、勤務先は差押え部分を本人に支払えなくなり、債権者への支払いまたは供託(会社が裁判所に預けること)で対応することになります。この段階では、会社に対して差押えの事実を隠すことはできません。

手元に届いた書類に記載された裁判所名、事件番号、受領日、請求債権額を確認し、差押えを受けていることや次回の給与支給日、届いた書類を速やかに専門家へ伝えてください。

訴状や支払督促が届いた(差押え前)場合

裁判所から「訴状」や「支払督促」が送達された段階は、差し押さえの一歩手前です。裁判所からの書類には対応期限が指定されており、期限を過ぎると手続きが進んで給与の差し押さえに至るリスクがあります。期限は書類ごとに異なるため、手元に届いた日付を記録し、速やかに専門家の面談を受けられるよう手配してください。

督促のみで裁判前の場合

債権者から督促状や催告書が届いているものの、裁判所からの書類はまだ届いていない段階であれば、差押えに進む前に選べる手段が残っている場合があります。書類の種類や差出人によって進み方が異なるため、届いている督促状の種類を相談時に伝えてください。

この段階であれば、自己破産だけでなく、利息のカットを目指す「任意整理」や、借金を減額する手続きである「個人再生」など、複数の選択肢を比較しながら検討する余地が残されています。住宅の扱いなどの適用条件は専門家にご確認ください。

相談前に準備したい5つのもの

弁護士や司法書士、公的窓口への相談を実りあるものにするため、事前に手元で整理しておきたい資料を5点挙げます。なお、実際に必要な書類は依頼先や裁判所によって異なるため、相談先の案内を優先してください。すべてが完全に揃っていなくても相談自体は可能ですが、用意があるほど助言を受けやすくなります。

差押命令・訴状・督促状などの書類

裁判所から届いた特別送達の封筒や書面一式、債権者から送られてきた督促状などをまとめます。期限の数え方は書類ごとに異なるため、受け取った日と書面に書かれた期限・期日をメモしておくと相談が円滑です。

借入先ごとの状況をまとめたメモ

どの業者から、いくら借りており、直近の返済がどうなっているかを整理します。借入れに至った経緯(生活費の不足、ギャンブル、投資など)についても、責められることを恐れず客観的に書き留めておきます。経緯を整理しておくと、相談先が状況を把握しやすくなります。

収入が分かる資料(給与明細など)

直近の給与明細書や源泉徴収票、課税証明書などを準備します。給与が手渡しで明細が手元にない場合や、自営業で帳簿が未整理の場合は、その実情をそのまま相談時に伝えて問題ありません。

家計の収支と家族の状況

1か月あたりの生活費(住居費、光熱費、食費、通信費など)と手取り収入のバランスを書き出します。同居している家族の人数や就労状況も、裁判所が申立人の生活実態を把握する際に確認されることがあります。

預貯金・財産の把握資料

保有している預金口座の通帳、生命保険の証券(解約返戻金の有無)、自動車の車検証、不動産の有無などを確認します。財産の額や内容は手続きの型(同時廃止か管財事件か)の見通しにも関わるため、全体像を把握しておくと相談が進めやすくなります。

相談先を選ぶときの4つの確認項目

債務整理の相談先を検討する際は、ご自身の置かれている状況と相談窓口の取り扱い範囲が合致しているかを見極める必要があります。

差押えへの緊急対応と自己破産の対応範囲

すでに給与が差し押さえられている事案では、速やかな破産申立てや裁判所との調整が求められます。取り扱い業務として自己破産の申立てに対応しているか、差押えを受けている状況の相談に対応しているか、現在の緊急度に応じた面談が可能かを確認してください。

弁護士と司法書士で担当できる範囲の違い

法律相談を受ける専門家には弁護士と司法書士が存在します。司法書士と弁護士では自己破産の申立てにおいて担当できる法的な業務範囲が異なるため、相談先を検討する際は次の点を確認することをおすすめします。

・自己破産の申立てで、書類の作成だけを担当するのか、代理人として手続きを進めるのか

・給与の差押えがすでに始まっている場合、具体的にどのような流れで対応を進めるのか

特に差押えが進行している事案や管財事件が見込まれる事案では、希望する手続きにどこまで対応してもらえるかを事前に事務所へ確認しておくことが大切です。

費用体系と支払い方法の確認

着手金、報酬金、実費(印紙代や予納金)の構成は事務所ごとに異なります。給与の差し押さえを受けている最中は手元資金が逼迫しているケースが多いため、費用の分割払いが可能かどうか、初回の相談料の有無などを事前に公式案内で確認しておくと安心です。

相談後の流れと連絡方法

相談後にどのような順序で手続きが進むかとともに、連絡手段(電話やメール等)、連絡が可能な時間帯、郵便物の有無を確認しておくとスムーズです。

身近に相談できる専門家が見当たらない場合や、費用の捻出に著しい困難がある場合は、公的な相談窓口を利用することも有力な選択肢です。法テラス(日本司法支援センター)、各地の弁護士会や司法書士会、自治体の消費生活センターなどに相談窓口が設けられています。利用条件や費用、対応内容については、各窓口の公式案内でご確認ください。

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よくある質問

自己破産を申し立てれば、給与差し押さえはすぐ止まりますか?
申し立てを行った瞬間に直ちに止まるわけではありません。破産手続開始決定が下されると破産財団に対する新たな強制執行は原則としてできなくなりますが、すでに始まっている差押えがいつ止まるかは手続きの種類(同時廃止または管財事件)や裁判所の運用によって異なります。止まる時期や手続きの目安については、相談・依頼先の専門家に日程をご確認ください。
給与が差し押さえられると勤務先の会社に知られますか?
知られます。給与差し押さえの手続きでは、裁判所から勤務先に対して「債権差押命令」が正式に送達されます。会社は差押え部分を本人に支払えなくなり、債権者への支払いまたは供託(会社が裁判所に預けること)で対応するため、会社に知られずに差し押さえを完了させることはできません。なお、自己破産の申立て自体によって勤務先へどう連絡が行くかは、手続きの種類や事案によって異なるため、相談時にご確認ください。
給与の差し押さえには法律上の上限がありますか?
上限が定められています。民事執行法に基づき、原則として手取り給与の4分の1までが差し押さえの上限とされています。ただし、手取り額が高額な場合は例外規定があります。また、養育費などの請求では上限が異なる場合があるため、専門家にご確認ください。
自己破産の手続き中に受け取る給料は取り上げられますか?
破産手続開始決定の後に発生した給与(新得財産)は、破産手続による回収の対象にはならず、原則として生活費に充てることができます。ただし、すでに始まっている差押えがいつ止まるかは手続き類型によって別個に判断されるほか、開始決定前に発生した給与や賞与の扱いも事案によって異なるため、相談・依頼先の専門家にご確認ください。
ギャンブルが原因の借金でも、自己破産の相談はできますか?
相談自体は問題なく可能です。ギャンブルや浪費が借金の原因である場合は免責不許可事由にあたる可能性がありますが、免責の可否は裁判所が個別の事情を踏まえて判断します(裁量免責が認められる場合もあります)。事情を隠さずに相談することが大切です。
弁護士と司法書士のどちらに相談すべきですか?
ご自身の債務状況や、どこまで手続きの代理を求めるかによって適した窓口が分かれます。書類作成のみか代理人としての対応かなど、担当できる業務範囲が異なるため、詳しくは前章の「弁護士と司法書士で担当できる範囲の違い」にある確認項目を参考に、各事務所へお問い合わせください。

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自己破産・任意整理・個人再生を含む借金問題は、専門家への早期相談で負担を抑えて解決できる場合があります。以下は無料で相談を受け付けている窓口です。

・法テラス(日本司法支援センター) — 収入要件を満たす方は無料相談+弁護士費用立替も可能

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※本記事は一般的な解説であり、具体的な手続きは資格を持つ弁護士・司法書士にご相談ください。

まとめ|手続きの段階を把握して早めの相談窓口へ

この記事のまとめ

・給与差し押さえと自己破産は異なる法的手続きであり、受任通知だけで既存の差押えが直ちに止まるわけではない

・開始決定後は破産財団に対する新たな強制執行が原則できなくなるが、すでに始まった差押えがいつ止まるかは手続き類型や事案によって異なるため相談・依頼先の専門家への確認が必要

・裁判所の書類を放置せず、法テラスや弁護士会などの公的機関を含めた専門窓口へ早めに相談し、状況に応じた準備を進めることが大切である

給与の差し押さえは、手取り収入の減少だけでなく、精神的にも大きな負担をもたらします。しかし、法律に基づいた制度の仕組みを理解し、順を追って手続きを進めることで、現状を整理して次の一歩を考えやすくなります。

差し押さえの解除や手続きの進展には、裁判所の判断や個別事情が大きく関わります。自己破産は借金の返済を整理する選択肢のひとつですが、どの手法が合っているかは収入や資産、借入れの経緯によって異なります。まずは手元に届いている書類を大切に保管し、法テラスや弁護士・司法書士などの信頼できる窓口へ一度相談し、ご自身の状況に合わせた現実的な一歩を踏み出してください。

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