「弁護士に相談したいけれど、費用が高くて踏み出せない」——そう感じて、借金問題を一人で抱え込んでいる方は少なくありません。実は、法テラス(日本司法支援センター)を利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらいながら、月々の分割払いで債務整理の手続きを進めることができます。この記事では、法テラスの弁護士費用の仕組みや審査の流れ、利用時の注意点まで、養分のトリセツ編集部が丁寧に解説します。費用の心配で相談をためらっている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
法テラスとは?まず基本を押さえておきましょう
国が設立した法的支援の公的機関
法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は、2006年に国が設立した公的機関です。「経済的な理由で法的支援を受けられない人をなくす」という理念のもとに設立されており、弁護士や司法書士の費用を立て替える「民事法律扶助」制度を中心に、さまざまな法的サービスを提供しています。
借金・債務整理問題はもちろん、離婚・相続・労働問題など、幅広い法律相談に対応しています。法的なトラブルを抱えているにもかかわらず、経済的な壁によって専門家に相談できない状況を社会全体で支えるための仕組みといえます。
「民事法律扶助」制度の概要
法テラスの中核サービスが「民事法律扶助」です。この制度には大きく2種類の支援があります。
・法律相談援助:弁護士・司法書士への法律相談費用を法テラスが立て替える(1回30分程度の相談が対象)
・審査援助(弁護士・司法書士費用の立替):実際に依頼する場合の着手金・実費を法テラスが立て替え、後から分割で返済する
債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)を弁護士や司法書士に依頼する場合、この「審査援助」を使って弁護士費用を立て替えてもらうことが多いです。
編集部の一言
法テラスはあくまでも費用を「立て替える」機関であり、債務整理の手続き自体は担当弁護士・司法書士が行います。法テラスが借金を解決してくれるわけではない点は、最初に理解しておきましょう。
法テラスで立て替えてもらえる弁護士費用の目安
債務整理ごとの費用相場
法テラスが立て替える弁護士費用は、依頼する手続きの種類によって異なります。以下は一般的な目安です(消費税込み)。
| 手続きの種類 | 弁護士費用(立替目安) | 月々の返済額目安 |
|---|---|---|
| 任意整理(債権者3社まで) | 約20万〜30万円前後 | 月5,000〜1万円程度 |
| 個人再生 | 約40万〜60万円前後 | 月1万〜1.5万円程度 |
| 自己破産 | 約30万〜50万円前後 | 月5,000〜1万円程度 |
注意
上記はあくまで目安であり、案件の複雑さや債権者数、担当弁護士によって金額は変わります。実際の立替額は審査を通じて確定するため、事前に法テラスへ確認することをおすすめします。
立て替え費用の返済方法
法テラスに立て替えてもらった費用は、手続きが終わった後に月々5,000円〜1万円程度の分割払いで法テラスへ返済します。返済期間は立替額に応じて決まりますが、おおむね3年(36回払い)以内が目安とされています。
また、自己破産が認められたケースや、生活保護受給者など一定の条件を満たす場合には、立て替えた費用の返済が免除(償還猶予・免除)になる場合もあります。詳細は法テラスの窓口でご確認ください。
法テラスを利用するための審査条件
収入・資産の上限基準(収入要件)
法テラスの審査援助を受けるには、「収入が一定基準以下」であることが主な条件です。世帯人数によって基準が異なります。以下は月収(手取り)の目安です。
| 世帯人数 | 月収の上限目安(手取り) |
|---|---|
| 1人 | 約18万2,000円以下 |
| 2人 | 約25万1,000円以下 |
| 3人 | 約27万2,000円以下 |
| 4人 | 約29万9,000円以下 |
住宅ローンや家賃など一定の支出がある場合は、その分を差し引いて審査されるため、上記の基準をやや超えていても審査を通過できるケースがあります。まずは相談してみることが大切です。
資産要件と「勝訴の見込み」要件
収入要件に加え、以下の要件も確認されます。
・資産要件:預貯金や不動産などの資産が一定額以下であること
・勝訴(解決)の見込み要件:依頼する案件が「まったく見込みがない」とはいえないこと
・民事法律扶助の趣旨への適合:報復目的など不当な動機による申請でないこと
債務整理の場合、「勝訴の見込み」は「借金整理の見込みがあるか」という観点で判断されるため、過払い金が発生している場合や返済が著しく困難な場合は比較的通りやすいとされています。
補足・参考
収入基準の詳細は法テラス公式サイト(houterasu.or.jp)に掲載されています。また、電話(0570-078374)での問い合わせにも対応しています。審査の詳細は直接問い合わせるのが確実です。
法テラスを使った債務整理の流れ
STEP1:法テラスに問い合わせ・審査申請
まず法テラスの窓口(電話・対面・オンライン)に問い合わせて、審査援助の申請を行います。必要書類として、収入証明書(源泉徴収票・給与明細など)、預金通帳のコピー、住民票などが求められます。
STEP2:担当弁護士・司法書士とのマッチング
審査が通ると、法テラスが契約している弁護士・司法書士が担当として紹介されます。または、すでに相談中の弁護士が法テラスの契約弁護士であれば、そのまま利用できる場合もあります。
STEP3:弁護士が手続きを開始・法テラスが費用を立替
担当弁護士との契約が成立すると、法テラスが弁護士費用を直接弁護士へ支払います。依頼者は弁護士費用を手元から出す必要がなく、手続きをスタートできます。
STEP4:手続き完了後、法テラスへ分割返済
債務整理の手続きが完了した後、立て替えてもらった費用を法テラスに対して月々返済します。返済額は収入状況に応じて設定されるため、無理のない範囲でのスタートが可能です。
法テラス利用のメリットと注意点
メリット:手元資金ゼロでも弁護士に依頼できる
法テラスの最大のメリットは、まとまった着手金を用意できなくても、すぐに弁護士へ依頼できる点です。借金問題を抱えている方の多くは生活が逼迫しており、「弁護士費用の10万〜20万円が今すぐ出せない」というケースは珍しくありません。法テラスは、そうした経済的障壁を取り除くために存在しています。
また、受任後は弁護士から「受任通知」が各債権者に送られるため、督促・取り立てが停止されます。これにより、手続き中の精神的負担が大きく軽減されます。
注意点①:担当弁護士を自由に選びにくい場合がある
法テラスを通じた場合、担当弁護士は法テラスの契約弁護士の中からアサインされる形になります。「特定の弁護士に依頼したい」という希望がある場合は、その弁護士が法テラスの契約弁護士かどうかを先に確認しておく必要があります。
注意点②:審査には時間がかかる場合がある
法テラスの審査は書類の準備から審査完了まで、おおむね1〜2週間程度かかることがあります。「今すぐ動きたい」という緊急性の高いケースでは、この待ち時間がストレスになることもあります。急を要する場合は、その旨を法テラスに伝えて相談するか、着手金の分割払いに対応している弁護士事務所への相談も選択肢のひとつです。
注意点③:収入基準を超える方は利用できない
前述の収入要件を超えている場合は、残念ながら法テラスの審査援助は受けられません。ただし、多くの弁護士事務所では独自の分割払い・後払いに対応しており、費用を先に用意しなくても相談を始められるケースは少なくありません。
注意
法テラスは公的機関ですが、「法テラスを名乗る詐欺」に注意が必要です。法テラスが自ら電話をかけてきて費用の振り込みを求めることはありません。不審な連絡があった場合は、公式サイトや公式電話番号に直接問い合わせてください。
法テラスと私費弁護士の費用比較
法テラス利用時と一般弁護士事務所との違い
「法テラスと、一般の弁護士事務所に直接依頼するのとでは、どちらがお得なのか」という疑問は多く寄せられます。費用面から整理しておきましょう。
| 比較項目 | 法テラス利用 | 一般弁護士事務所(私費) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 立替制度で実質0円から | 着手金を先払い(10万〜30万円など) |
| 費用総額 | 法テラス基準額(比較的低め) | 事務所によって異なる(割高な場合も) |
| 担当者の選択 | 基本的に法テラスがアサイン | 自分で事務所・弁護士を選べる |
| 対応スピード | 審査に時間がかかる場合あり | 依頼後すぐに動き出せる場合も |
| 対象者 | 収入・資産要件あり | 収入に関わらず依頼可能 |
法テラスの弁護士費用は、国が定めた基準料金(「審査援助弁護士報酬基準」)に基づいて設定されており、一般の事務所と比較してトータルの費用が抑えられる傾向があります。ただし、サービスの柔軟性や選択の自由度では私費依頼に優位性があります。どちらが適しているかは、個々の状況によって異なります。
補足・参考
弁護士費用について不安がある場合は、日本弁護士連合会(日弁連)が提供している「弁護士費用保険」(弁護士費用保険ミカタ等)や、各地の弁護士会が実施している無料相談会の活用も検討してみてください。
生活保護受給中の方が法テラスを使う場合
生活保護受給者は費用が免除になる可能性あり
生活保護を受給している方が法テラスを利用する場合、審査は原則として収入要件を満たすとみなされます。さらに、手続きが完了した後の返済(償還)についても、生活保護受給が継続している場合は免除になるケースがあります。
また、生活保護受給者は「生活保護法による援助」として、弁護士費用の一部を福祉事務所から支給される制度がある自治体もあります。詳細はお住まいの福祉事務所または法テラスの窓口にご相談ください。
自己破産後の返済免除要件
自己破産の免責が確定した場合、法テラスへの返済(償還)が免除になる可能性があります。これは、自己破産によって債務が免責される趣旨と矛盾しないための措置です。ただし、免除が認められるかどうかは法テラスの審査によって判断されるため、必ず事前に確認しておきましょう。
よくある質問
法テラスの審査に落ちた場合はどうすれば良いですか?
収入や資産が基準を超えていて審査に通らなかった場合でも、選択肢はあります。多くの弁護士事務所では、着手金の分割払いや後払いに対応しています。また、日弁連や各地の弁護士会が実施している無料相談会を活用することで、費用をかけずに最初のアドバイスを得ることができます。まずは複数の事務所に問い合わせ、費用の支払い方法について率直に相談してみることをおすすめします。
法テラスに依頼すると、弁護士の質が落ちることはありますか?
法テラスと契約している弁護士・司法書士は、通常の弁護士と同じ国家資格を持つ専門家です。法テラスを通じたから質が低いということはありません。ただし、担当者との相性や得意分野は弁護士によって異なるため、マッチング後に「信頼できそうか」を面談で確認することが大切です。もし不安を感じる場合は、法テラスに担当変更の相談をすることも可能です。
すでに弁護士に相談中ですが、途中から法テラスに切り替えることはできますか?
すでに依頼した弁護士が法テラスの契約弁護士であれば、途中から法テラスの審査援助に切り替えることができる場合があります。まず担当弁護士に「法テラスの審査援助を使いたい」と伝え、対応可能かどうか確認しましょう。なお、すでに私費で支払った着手金の返金は難しい場合が多いため、相談の初期段階で法テラスの利用を検討することをおすすめします。
法テラスを使うと、家族に借金のことがバレますか?
法テラスへの問い合わせや審査申請自体は、原則として本人の意思で行うものであり、家族への通知はありません。ただし、審査書類として住民票(世帯全員記載のもの)や収入証明書が必要になる場合があり、同居の家族がいると書類の準備に関わる可能性があります。また、個人再生や自己破産の手続き自体は官報に掲載されるため、完全な秘密保持には限界がある点も理解しておく必要があります。
法テラスへの返済が苦しくなった場合、猶予してもらえますか?
はい、法テラスでは返済が困難になった場合に「償還猶予」の申請が可能です。病気・失業・その他やむを得ない事情がある場合、返済の一時停止や期間延長が認められるケースがあります。返済が難しいと感じたら、滞納する前に早めに法テラスの窓口へ相談することが大切です。放置すると一括請求に切り替わる可能性があるため、状況の変化があれば速やかに連絡しましょう。
⚖️ 無料で借金問題を相談できる窓口
自己破産・任意整理・個人再生を含む借金問題は、専門家への早期相談で負担を抑えて解決できる場合があります。以下は無料で相談を受け付けている窓口です。
・法テラス(日本司法支援センター) — 収入要件を満たす方は無料相談+弁護士費用立替も可能
・弁護士ドットコム 借金・債務整理の相談 — 全国の弁護士に無料相談
※本記事は一般的な解説であり、具体的な手続きは資格を持つ弁護士・司法書士にご相談ください。
まとめ|法テラスの弁護士費用制度を上手に活用しよう
この記事のまとめ
・法テラス(日本司法支援センター)は、経済的に弁護士費用を用意できない方のために費用を立て替える公的機関
・民事法律扶助の「審査援助」を使えば、債務整理の弁護士費用を法テラスが立て替え、後から月々分割返済できる
・利用には収入・資産の要件があり、世帯人数によって基準が異なる(住宅ローン等の支出は差し引ける)
・自己破産免責が確定した場合や生活保護受給者は、立替費用の返済が免除になるケースもある
・審査には1〜2週間程度かかる場合があるため、早めの相談が重要
・法テラスの審査に通らなかった場合でも、分割払い対応の弁護士事務所や弁護士会の無料相談など複数の選択肢がある
「費用がないから相談できない」という状況は、法テラスの制度を知ることで変わることがあります。借金問題を一人で抱え込んでいると、精神的な負担はもちろん、延滞による利息の増加など、放置するほど状況が悪化していく傾向があります。
まず法テラスの無料電話相談(0570-078374)に問い合わせるか、弁護士事務所の無料相談を活用して、今の状況を専門家に話してみることが、再起への最初の一歩です。養分のトリセツ編集部は、読者の方が安心して相談先を選べるよう、引き続き情報を発信していきます。

コメント